ヒアルロン酸はヒトの体内のあらゆる所に存在するタンパク質で、グリコサミノグリカンというムコ多糖類の一種です。主に皮膚の表皮や真皮、軟骨、目の硝子体で重要な役割を果たしています。鎖状の構造をしていることから弾力があり、粘り気が強いという特性を持っていますが、その強さはヒアルロン酸の濃度や鎖の長さによって異なります。
1gで6Lの水分を保持することができると言われるほど高い保水力を持った成分であり、周囲の細胞への水分補給のほか、存在する部位によってはクッションのような役割で身体のスムーズな動きをサポートしています。
しかしヒアルロン酸は年齢を追うごとに減少していく傾向にあり、40代になるとそのスピードは一気に加速して60代になる頃には20歳の頃の半分以下になるそうです。そのため積極的に摂取することが必要ですが、分子が大きいために食事で摂ることは難しく、分子を小さく加工した形で配合しているサプリで摂ることが最も有効とされています。
軟骨に存在するヒアルロン酸は、関節を曲げたときに軟骨の表面にできるひだの間に挟まります。分子の大きいヒアルロン酸はそこで圧縮されることにより、周囲を押し広げようと作用します。そこで骨と骨との間に空間ができ、摩擦が避けられるという仕組みなんですね。関節を曲げたときには人が上に座ったときのバランスボールのようになるとイメージすればいいのではないかと思います。
軟骨のヒアルロン酸が減少した状態で膝を曲げるというのは、空気の抜けたバランスボールの上に勢いよく座るようなものです。空気の抜け具合がひどいと地面でお尻を打つことになり、つまり関節に話を戻すと骨と骨とがぶつかることになりますね。曲げた瞬間にひどい痛みを伴い、それをくり返すことで炎症を起こして腫れを引き起こします。関節痛でお医者さんに行くと、ヒアルロン酸注射をされることがありますよね。これはバランスボールに空気を入れるのと同じで最も速効性があるそうですが、注入されたヒアルロン酸は次第に体内に吸収されるため、長い目で見るとやはり継続的にヒアルロン酸をサプリなどで摂取することが望ましいようです。
ヒアルロン酸の効能としていちばん有名なのは美肌効果ではないでしょうか。お肌の潤いを保ち、ハリや弾力をキープする上で必須の成分であると謳われ始めてからもうずいぶん経つので、しっかり世間的な印象として浸透しているのではないかと思います。
そのほかには目の潤いを保つ成分としても注目されており、乾燥予防・殺菌・洗浄・栄養補給といった涙の働きを助けて、ドライアイを防ぐのに役立つと言われています。ドライアイは不快なだけでなく、放置すると角膜や結膜が傷つく可能性もあり、視力が下がって日常生活に支障を来す原因にもなりかねません。ドライアイが気になっている人はヒアルロン酸入りの目薬を試してみるのもいいでしょう。
関節の動きを滑らかに保つだけでなく、ヒアルロン酸はお肌にも目にも重要な役割を果たしています。アンチエイジングとしてはもちろん、若いうちから予防的に摂取して、不足することのないように気をつけたい成分です。
